
今回はメタの確信的な新技術を搭載したVR機種をご紹介します。
これまでのVR体験では、女優さんがゆっくりと自分に近づいてくるシーンだと、二重に見えてしまうことが多々ありました。
しかしメタの最新技術「可変焦点VRヘッドセット」が、これを変える可能性を秘めています。
この技術がどのようにアダルトVRやVRChatでの体験を向上させるのか実体験を元にお伝えします。
プロトタイプ「Butterscotch Varifocal」

Metaが展示していた機種はButterscotch Varifocal(バタースコッチバリフォーカル)というプロトタイプです。
2022年にMetaが公表した 55PPDの高解像度を持つバタースコッチというプロトタイプに可変焦点技術を搭載したものです。
※PPD(Pixels-Per-Degree)=視野角1度あたりの何ピクセルを表示しているかの画素密度
超高画質と可変焦点機能の2つの最新技術を1度に体験できるのは贅沢でした。
55PPDはとにかく画質が綺麗なんだろうなとイメージできると思いますが、可変焦点機能については一体何なのか具体的には想像しにくいかもしれません。
自分もこれまで可変焦点については何度か耳にしてきましたが、どのようなメリットがあるのか実はあまり分かっていませんでした。
しかし実際体験してみると可変焦点機能は非常に重要であることに気づきました。
固定焦点と可変焦点の違い

可変焦点の何がすごいのかは、まず一般的なVR機種の焦点の仕組みを知ると理解しやすくなります。
VRヘッドセットでは小さなディスプレイが、目から非常に近い位置に配置されています。
しかし、人間の目はそれほど近い距離にある物体には自然に焦点を合わせることが難しいので、この問題を解決するためにVRヘッドセットには特殊なレンズが必要です。
そのためにフレネルレンズやパンケーキレンズが使われています。
これらのレンズは目の近くにあるディスプレイ上の映像に焦点を合わせやすくするために設計されており、焦点距離は人間の目にとって比較的快適な1.5mから2m先の範囲に設定されていることが多いようです。
これによって目の疲れが軽減され、鮮明な映像が体験できます
しかしこの固定焦点には限界があります。
例えばVRカノジョで距離を保って見ている時は比較的自然に見えますが、近くに寄ろうとすると目は焦点を近くに合わせようとします。

しかし、実際には焦点距離が2m先に固定されているので、視覚的な不一致が生じてせっかくの彼女が二重に見えたりぼやけて見えることがあります。
そのような思いをして残念に思った男子も多いことでしょう。
また近くと遠くの物体を交互に見る場合などは、非現実的に感じられることがあります。
現実世界では人間の目は自然に近くの物体に焦点を合わせることができますが、 固定焦点のVRヘッドセットではこのような自然な焦点調整が難しくなります。
2m先に焦点が固定されていると、近くの物体に焦点を合わせる際に目に負担がかかります。
このように固定焦点のVRヘッドセットでは特に近くの物体を見る際に不自然に見えて、 目が疲れやすくなったり不快感を感じることがあります。
それでは可変焦点技術を搭載したヘッドセットではどうでしょうか。

バタースコッチバリフォーカルでは、目の焦点位置に応じて映像の焦点距離を動的に調整します。
つまり目の前の物体に焦点を合わせるとヘッドセットもその焦点距離に合わせて調整します。
これによってVR内で見ているオブジェクトが近くにあっても遠くにあっても自然に焦点を合わせることができ、二重に見えることなく鮮明な映像体験ができます。
特に読書や精密作業、近距離での対話など現実世界に近い体験がVRで実現されます。
ではバタースコッチバリフォーカルの実体験体についてお伝えしましょう。
Butterscotch Varifocalの実体験

太いケーブルで繋がれた本体は、まさにプロトタイプといった感じです。
ヘッドストラップは、エリートストラップに似たようなものが取り付けられていました。
まずヘッドセットを装着すると、アイトラッキングの調整が行われます。
遠近に動くマークを見ることで、目がどれだけ内側に寄っているのかを計測して、その情報を元に可変焦点の調整を行っているそうです。
体験コンテンツはリビングのソファーに座り、ローテーブルに置かれた色々なオブジェクトを掴んで観察するものでした。
実際にタブレットを掴んで画面画面上の小さな文字を読んでみると、確かに自然に焦点が合うことが分かりました。
それが自然で普通のVRヘッドセットでは、どんな見え方だったのかなと思ったほどです。
初めてVRを体験する人にとっては、これの何がすごいのかわからないと思います。
可変焦点の機能をオンオフ切り替えてみると、その違いがはっきりと分かりました。

オフにした状態では焦点が合わずに二重に見えてしまうので、文字を読むのは難しいです。
一方で可変焦点をオンにした場合は、二重に見えることなく両目でしっかりと読めます。
ヘッドセットでどのような仕組みで焦点が変わっているのか気になるところですが、これは本体内部でディスプレイの距離をモーターで動かすことで実現されています。
本体側面から内部が見えるようになっていて視線を動かすたびに内部が動いているのが分かると思います。

近くを見ている時はディスプレイが目に近づき、遠くを見ている時は遠ざかります。
ただし近くから遠くに視線を一気に移した場合焦点の変化には、0.5秒程度の遅れがあります。
一瞬遠くがぼやけて見えるんですが、その後にじわじわと焦点が合っていくのが分かりました。
ただし全ての距離で有効ではなく、バタースコッチバリフォーカルのサポート範囲は無限円から25cmまでとなっていました。
今回は一定の距離以上近づけようとするとオブジェクトが見切れてしまい、視認できないようになっていました。
また、55PPDの体験もなかなかできるものではないので、部屋を見渡して高画質を実感してみました。
全くスクリーンドアは感じませんし、ジャギーも感じず集中して見ていると現実を見ているかのような感覚になりました。

しかし視野角が水平垂直53度とかなり狭いので望遠鏡から覗いているような感覚でした。
ここまでの高解像度であっても、視野角の広さはVR体験において重要な要素であると改めて思いました。
ちなみにPCのスペックはRTX4090でした。
業務用のさらに高スペックなものかと思っていましたが、視野角を狭めていることもあって実現できるのかもしれません。
この可変焦点技術はビジネス用途でかなり力を発揮するでしょう。
例えば、建築やデザイン分野では設計者やエンジニアがVR内で3Dモデルや図面を細部にわたって正確に確認することができるようになります。
また医療分野でのトレーニングなどにおいても、可変焦点技術は大きなメリットになるでしょう。
可変焦点はアダルトで最も活かされる

しかし1番インパクトがあるのは間違いなくアダルト分野での活用だと思いました。
帰宅してからQuest3やPICO4で再確認してみたところ、さっきの体験とは違って近くのものが二重に見えてしまうことが改めて分かりました。
キスシーンを見ても二重に見えてしまうのがもどかしい気持ちです。
可変焦点のヘッドセットだったら鮮明に見えるのにと思いました。
女優さんが迫ってくるシーンでも、常にはっきり見える見つめ合う瞬間や髪の毛1本1本までもリアルに見えるはずです。
普通のVRでは近くを見ようとすると、頑張って寄り目にしたりと工夫が入りますが、可変焦点ではそのような負担から解放されます。

VRエロゲやVRChatにおいても同じことが言えます。
相手にすごく近づいても、細かい表情の変化や肌の質感まで細部に渡って鮮明に見えます。
しかも55PPDとなるともはや現実でしょうね。
可変焦点と内視野角の関係

実は以前にも近くのものが見えやすくなるというテーマで動画をアップしたことがあります。
それはPICO4でキスシーンがリアルになる理由を解説した動画でした。
PICO4はQuest2などの他の機種と比べて、内側の視野角は広くて立体視できる範囲が広いです。
しかし、内視野角の広さと近くの物体に焦点が合いやすくなるかどうかは別の話になります。
打視角が広いとより広い範囲を立体視できますが、焦点が合いやすくなるわけではありません。

逆に可変焦点であっても、内視野角が狭いと間近の物体を見ようとすると片目でしか見ることができずに可変焦点の利点が生かされないこともあります。
バタースコッチバリフォーカルの内視野角はQuest2と同じぐらいに感じたので、さらに近い距離で物体を見ようとすると、物理的に両目で見ることができない可能性があります。
可変焦点技術の課題

今回のような高画質や可変焦点技術の技術はアダルト分野に大きく貢献することは間違いないのにMetaがそれを売りにできないというのは残念ですね。
ただ1番の問題点は可変焦点機能を持つ普及型のヘッドセットが登場するのは、まだ先になる可能性が高いことです。
アイトラッキング搭載は最低条件になりますし、ディスプレイの可動範囲によって本体サイズが大きくなる可能性があります。
構造が複雑になることで、10万円以下のような価格帯に抑えることはかなり難しいでしょう。

以前発表されたものの現在では中止になった寝ながら使えるVR機種「HalfDive」では可変焦点機能付きモデルが約40万円と高額でした。
HalfDiveの解説動画も過去に出しましたが、当時は可変焦点の重要性を十分に理解できていませんでした。
しかし今なら分かります。
天井特化で女優さんを常にリアルに感じることができるということだったんですね。
もし将来、近距離専用のVR機種やそのようなレンズに交換できるような機種が登場するのならいいんですが、それ以外でキスシーンが二重に見える問題が解決しないというのは神のいたずらとしか思えません。
AIですら解決できないことでしょう。